至誠通天

良い行いも悪い行いも、お天道様はご照覧

僕のデビュー戦

F君の試合の次の日、僕のデビュー戦がありました。
その日は、新聞配達を休ませてもらいました。
計量の時は、何も身に付けずに秤にのります。
僕は、その当時全く減量の心配がなく、お腹いっぱいご飯を食べて秤にのりました。
当然、計量パス。相手の選手も同じく計量パス。

計量が終わったら、みんなで食事に行きます。
先輩たちはみなさん、過酷な減量をしていたので計量が終わるのが待ち遠しいようでした。
僕はあまりお腹は減っていなかったのですがみんなについて行きました。
天王寺ステーションビルのレストランでとんかつを食べたかなぁ?

試合の時間が刻々と近付いてきましたが、全然緊張しませんでした。
グロービングの時、8オンスの小さなグローブをはめてもらって思ったのは、
「練習用のグローブは大きいけれど試合用のグローブは小さくて軽い。
うちの先輩だから倒れへんけど、あいつ(試合の相手)やったら絶対倒せる。
フックは打つなとか、アッパーは打つなとか先輩は言ってたけど、試合なったら関係ないわい。絶対にKOで勝ったるわ!!」と無茶苦茶強気で勝つ気満々でリングに上がりました。
初めて上がったリングの感触は、マットが少し柔らかいなと思いました。
選手紹介があり、握手して(グローブをはめているのでグローブを合わせるだけ)さぁゴング!

第1ラウンド目。まずジャブをついて相手の出方を見てやろうと思っていました。
デビュー戦の1年坊主が、くそ生意気に、そんな事考えていました。
相手は、3回生。さすがにうまいところがあって、僕のジャブは当たらない。
それでも前へ前へと出て行った時、ガツンと今まで経験したことがない衝撃を左のテンプルに受けました。
左目の上にしこりのようなものが出来たのは、すぐに分かりました。それでも前へ・・・。
その次は口のあたりに衝撃がありました。そう、僕は打たれまくっていたのです。
それでも、意識的なダメージは全く無かったのでただひたすら前へ出ました。
「打たれてばっかりやったらおもろないわ」と、僕も反撃に出ました。ワン・ツーが当たり、ワン・ツー・スリー・フォが見事に相手のあごにヒット。

3回生の相手は尻もちをついてダウンしました。
ニュートラルコーナーで「もう立ってくるな」と、正直思いましたが、さすがに立ってファイティングポーズをとりました。
「これで終わらしたる」と、前へ出るのですが、相手は打ち合ってくれず第1ラウンド終了のゴング。

第1ラウンドが終わってマウスピースを吐き出すと、前歯の間がスカスカするのが分かりました。
そう、前歯が欠けてしまっていたのです。でも、「次で決めたる」それだけを思っていました。
第2ラウンドのゴングが鳴り、走って出て行きました。とにかく前へ前へと出るボクシングで攻め続けました。
でも相手もチャンスを狙って、カウンターを打ってくる。真面にもらっているけれど全然ダメージを感じない。
打たれても、打たれても、前へ、前へ、もうど根性でしかなかったです。
第2ラウンドの途中から相手の動きが悪くなって来たのが分かりました。
相手はスタミナが切れてきたのです。僕は、スタミナには自信があったので一気に攻めようとしましたが、クリンチされたり、足で逃げたりと捕まえられませんでした。
第3ラウンドも同じ展開でしたが、後もう少しというところまで攻めるシーンが増えてきていました。
第3ラウンド終了のゴングがなって、試合終了。

結果は僕のポイント勝ち。